窓の換気。風はどこから
なぜ、風が吹くのか気にされたことはありますか。「今日は風が強いわね」と思うことはあるでしょう。でも、「どこから来たんだろう?」と考える人は少ないのではないでしょうか。
「風が吹く」ということは、空気が団体で移動しているということです。
「空気の団体って、なんだ?」と思われた方も多いでしょう。
みなさんは天気予報を見ますよね。あそこに団体名が出てくるのですが、ご知ありませんか。感の良い方、知識のある方はお気付きのことと思います。
それは「低気圧と高気圧」のことです。空気の団体名です。(比喩ですので勘違いのないように!)
それでは、簡単に風の吹く原理をお話します。
太陽光線が地球に当たり、地球が熱を持ちます。すると、表面付近の空気が暖められます。
暖かい空気は軽く上にあがります。そうなると暖かい空気があった表面付近は気圧が低くなります。低気圧の発生です。そこに入り込むのが冷たく重い空気です。この冷たく重い空気が団体で動くので風となります。
ちょっとだけわかりましたか。
冬は家の中でも感じますよね。ストーブから暖かい空気が上がっている感じ、ストーブの下に吸込まれるようにやってくる冷たい空気。経験ありませんか。
実は、これが風の吹く原理なのです。低気圧は空気が暖まって上昇することによって発生します。暖かい空気が上空へ行ってしまうので、地上付近で気圧が下がるのです。
その気圧の下がった場所に気圧の高いところから空気が流れ込むので「風」が起きているのです。
少しは「風」を理解してもらえました。風の正体は暖かい空気と冷たい空気が起こしている自然現象でした。
前置きが長くなってしまいましたが、本題です。
窓があることで換気ができることはみなさんご存知ですよね。でも、どうして部屋の中の空気が外に出て、外の空気が部屋の中に入ってくるのかご存知ですか。
「そんなの簡単だよ。風が吹いているからじゃないか」と思われる方が多いと思います。
でも、それでは風が吹いていないときは換気ができないということになりませんか。
実は、風がなくても換気は行われています。部屋の中と外では温度差があるので、風に関係なく空気が移動するのです。
解り易いのは、冬の風のない日に窓を開けてみることです。
窓を開けた瞬間、冷たい空気が入り込んできます。経験ありますよね。
この時、一緒に暖かい空気も外に出ているんです。冷たい空気が入ってきているだけじゃないんです。
小さな高気圧と低気圧の現象が発生しています。窓を開けたことによって暖かい空気が外に出て行ってしまうので起こるのです。わかりました〜あ。
これが、「温度差による換気」です。この温度差による換気をもっと早くする方法もあります。それは、窓を部屋の対角線上に2ヶ所開けるという方法です。
実際とは、ちょっと違いますが簡単に考えると出口と入り口を作ってあげるということです。それも、対角線上だと部屋を一番風が抜け易い状態になりますので、効果抜群です。
冬の例でお話しましたが、夏も春も秋も無風状態での換気の考え方は同じです。部屋と外との温度差があると多かれ少なかれ換気が行えます。
更に、対角線上に窓があると多くの空気を入れ替え易くなります。これは、窓が1ヶ所しかない部屋と2ヶ所の部屋の違いとして、みなさん経験があるのではないでしょうか。それも北と南だと風の抜け方が違いますよね。
そして、もう一つあります。出口と入り口の大きさです。入り口が大きくても出口が小さければ、出て行ける空気の量が減ってしまいます。程度の問題はありますが、出口、入り口の大きさも考慮してください。小さいと出て行けませんし、入って来れません。
間取を考える時には窓の位置を考慮して風の抜け易い部屋を造りましょう。
夏涼しい部屋となります。
応用編として「打ち水」があります。
南側に水をまくと、北側から涼しい風が入ってくるってやつです。
これは、夏の暑い日に、南側に水をまくことによって風を起こしているのです。
水を蒸発させ、人工的に上昇気流を作ります。当然、負圧になり、低気圧の状態となります。そうすると北側から日影で冷やされた空気がどどっと入って来るのです。
部屋の中に涼しい風が入ってきます。気持ち良いですね。昔の人の知恵はすごいですね。風を起こしています。
もう一つは「高窓」です。先ほどからお話しているように暖かい空気は軽く、上昇していきます。そこに高窓という出口があったらどうでしょうか。暖かい空気はすぐに外に出て行きます。そして、気圧の高いところから家の中に空気が入ってきます。この時に風を感じます。
吹抜けがあったりすると、1階は結構涼しくなります。(経験上)
窓の大きさ、取り付け位置によって、自然現象を利用した「風」を作り出すことが出来ます。十分ご検討下さい。
●これから家を新築される方へ
部屋が袋小路にならないようにお気を付け下さい。窓が一つだけの部屋は空気の出入りがしにくい状態になります。ドアーを引戸にするなど、空気の逃げ場所を造ってあげてください。又、掃き出し窓は上下に高さがあるので換気のしやすい窓と言えます。一つしか窓が取れない場合はご検討下さい。
◇道先 案内人(みちさき あんないと)のお勧めは引違い窓です。
引違い窓は換気用窓として、使い易い窓です。戸が邪魔になりませんし、少しだけ開けると、入れる空気の量を調整することが出来ます。かなり、便利です。
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